「ウロボロス」第十話感想

はい、ネタバレですよー。




うわああうわあああああああああああああああああん!!!!





。・゜゜(ノД`)o(T□T)o(T_T)




ああ……そっちを選んでしまいましたか……。



うん、いや、前回の美月ちゃんからの「精一杯のアイラブユー」シーンや、今回序盤の北川さんのイクオたちがやってきたことをチャラにするよみたいなシーンはね、イクオからしたら望んでることではないだろうと思ってたんですよ。
自分たちがやってきたことを自分以外の人たちもみんな揉み消してしまったら、イクオたちが恨んできたあの事件と同じになってしまう。
だから、イクオは前回美月ちゃんの思いを正面から受けとめられなかったんだよね、きっと。


北川さんが自分の父親だと知って動揺してるイクオに美月ちゃんが優しく寄り添って、「私はずっとそばにいる」と言って、イクオが美月ちゃんの背中にくっついていたけど。
美月ちゃんの温かさを感じながらも、「家族」になろうとしてくれる思いを感じてそれに寄りかかりたいと思いながらも、やっぱりどこか違和感があったのかもしれないなと思う。
美月ちゃんが自分の罪に目を瞑ろうとしてくれたから。
美月ちゃんの思いを知って、応えたくて、でも自分がやってきたことは消えないし消してはいけない、タッちゃんの存在も最後まで消してはいけない。
だからこそ、タッちゃんの元へ向かうことにしたんじゃないかな。



イクオとタッちゃんが北川家に来て北川さんから話を聞いてたシーン。
「誰かを犠牲にしてまで自分の子どもを愛する正義」、難しい言葉だと思った。
早乙女医師はそれで娘の命を救って自ら命を絶ったし。
それが本当に「正義」なのか?
小夏先輩はそんなお父さんの名誉を守るために結局は命懸けで任務をし人を殺すことになってしまった。
親にとって正義だったとしても、それは子にとっても正義と言えるのか?
まほろば」の子どもの未来を意図的に犠牲にしてまで得るものだったのか?


そんな北川さんを北川息子くんが守ろうと銃を出したシーンはドキドキした。
向ける相手はお父さんなのか、イクオと竜哉なのか。
向けた相手がイクオと竜哉だった時、北川さんが例え本人がどこかで違和感があったとしても、少なくとも北川息子くんにとっては大事な家族なんだということが分かる。
北川息子くんは美月ちゃんと同じだよね。
愛する人が悪に手を染めても、罪に目を瞑ってでも愛そうと守ろうとする。
それでも北川息子くんに銃を向け、庇った北川さんを撃ったイクオを、北川息子くんの銃の暴発を受けたタッちゃんが制する。
ここで「お前の弟じゃねえかよ」ってイクオに諭すタッちゃん……
タッちゃん……(T_T)
タッちゃんは、北川さんにも守り守られる家族がいると分かって、しかもそれが自分にとって大切な「家族」であるイクオの血縁者だと分かって、これ以上イクオに苦しい思いをさせる気にならなかったのかもしれない。
タッちゃん自身も、北川さんが誰かに愛情を与えていた人間だと分かって、それまでの「悪」から「自分と同じ人間」という認識に変わったんじゃないかな。
「悪」だったら優しいタッちゃんは誰よりも許せないと思うけど、「同じ人間」だから、それ以上手を出す気にはなれなかった。
そして、イクオにもやめようと言えたんじゃないのかなと思う。
イクオは、それでも、本来の血縁者である北川さんや北川息子くんではなく、精神的な「家族」であるタッちゃんを選んで「帰ろう」と言ったのかな……。



タッちゃんを選んだイクオは、最後に美月ちゃんに会っても迷わず竜哉と「まほろば」に行く道を選んだ。
タッちゃんに「ベストオブ片腕」と言われた深町さんが美月ちゃんを制したのは、最後まで「ベストオブ片腕」として忠誠を尽くそうとしたからなんだと思う。


まほろば」に行く途中で、竜哉は結子先生のビデオメッセージを見ていて、イクオは見ていないという話になる。
結子先生の最期に立ち会ったのにビデオメッセージは見ることができなかったイクオ。
結子先生の最期には立ち会えなかったのにビデオメッセージは見ることができた竜哉。
これでおあいこになったんだなぁ。
竜哉がイクオにビデオメッセージの内容を告げずに意識を無くし息絶えたのは、偶然かもしれないし、意図的に教えなかったのかもしれない。
教えなかった理由は色々考えられるけど……「まほろば」に行くと分かった時点で、竜哉はイクオの決心を悟ってたんじゃないかな。
だから言わなかったのかも。
それに、イクオが死ぬことにしたのは、多分結子先生が心配してたであろう北川さんが父親だったからじゃなく、自分たちがしてきたことへの「始末」が理由だったのだろうと思うし。



まほろば」に来て、死ぬ時に目を閉じたイクオが目を開けると、かつての「まほろば」と、目を開けたイクオと竜哉、そして目の前に結子先生。
今は亡きものになってしまった人たちと空間。
そこで結子先生との再会を果たす。
結子先生はこれまでのことを「無茶しすぎ」と言いながらも、最後の最後については「偉かったね」と褒める。
その時に泣いてすがりついたのは、幼い頃のイクオと竜哉。
ようやく、表だって幼い頃からずっと抱えてきた思いをさらけ出せるようになったんだなぁと思いました。


駆けつけた美月ちゃんと中年トリオの反応が本当に哀しい。
美月ちゃんは特に凄く胸を締め付けられる(T_T)
中年トリオは特にビデオメッセージを見ているし、特に蝶野さんと三島さんはイクオや竜哉に特別な思いがあったと思うし。
2人が亡くなった描写が直接ないのにこんなに哀しいなんて。


それでも、「亡きものが集まった空間」では、幼い頃と同じように結子先生のオムライスを分けあって食べて笑顔を浮かべるイクオと竜哉がいる。
(この2人の動き、幼いイクオと竜哉の動きと同じだったよね。意図的に同じにしたんだね。)
笑顔でいられるのは、多分、20年振りに「家族」の時間が持てたこと、あとは、「生きている人たちの世界」で、これらの事件を「なかったこと」にしなかったからなんじゃないかな?と思う。
ニュースで「まほろば」のことが表だって知られたのは判明したしね。
それに、新宿キッチンでは中年トリオとマスター&カオルちゃんがオムライスを食べてた。
深町さんも、竜哉がオムライスを食べてたお店で同じように食べて、初めて感情を出して泣いた。
美月ちゃんは、「ウロボロス」のペンダントを身につけて、イクオたちに問いかけた。
ウロボロス」のペンダントは、「結子先生のことを忘れない」というイクオたちの誓いが込められたものだった。
美月ちゃんは、そのペンダントに「イクオと竜哉を忘れない」「彼らが貫いた[事件をなかったことにしない]思い」を込めてるのかもしれない。
イクオを愛したことによって、美月ちゃんが本来持っていた「道を外れた人間は許さない」という正義が揺らいだわけだけど、美月ちゃんはイクオたちを失ったことによって、「なかったことにしない」正義を手に入れたのかもしれないな。




………うん。
ちょっと書いたことで感じたことがまとまってきたな。
「魔王」のエンディングと似てるけど、「魔王」と違うのは、復讐のきっかけになった人間が道を外れた主人公たちを許してることかな。
だから、哀しい最期なのにどこか救いがある。
あとは、復讐を自分たちの意思で完全に果たさなかったこと。
主人公たちが、最後まで「自分の思いが正しい」と思わなかったところが、人間らしくて良いなと思う。



本当にこのドラマは、画面から愛や熱が伝わってくる作品だった。
原作へのリスペクト愛、それぞれのキャラクターへの愛や熱、役者さん同士のぶつかりあいの熱、主題歌を担当してくれて誠実にパフォーマンスしてくれた嵐の熱、そして佐野プロデューサーはじめ、ナマセファンなどを作曲された木村秀彬さんといったスタッフさんの熱。
(最終回で、ナマセファンではなく、ちゃんと訳を放送したのは凄く良かったな。あの歌に込められたイクオと竜哉の決意を伝えてたのが。だから最後まで副音声入れてないのもあるんだな。)
「イケパラ」もそうだったけど、現場の熱が伝わる作品っていうのは本当に人を惹き付けるパワーが凄いと思う。
それを受け取れるかどうかは視聴者次第なんだけど。
私は受け取れて良かったな!
この作品に出会えて本当に良かった!



斗真さんを主役にしてくださってありがとうございました!
間違いなく、私の中で「生田斗真の代表作」の1つになりました。
そして、沢山の愛と熱をもって私たちに伝えようとしてくれた斗真もありがとう!
斗真が役者さんとして着実に進化しているのも分かったし、本当にファンとして幸せでした。
こうやって素敵な作品に、素敵な人たちに出会えるから、生田斗真のファンはやめられないんです!
これからもついていくよ!
ウロボロス」の龍のようについていくからね!